縄文時代、三内丸山遺跡で生活していた人たちも、同じように、このクリの柱の裂ける音を聞いていたことだろう。3000年前、同じ夜の闇の中で、彼らは、何を考えていたのだろうか。三内丸山遺跡で出土されたクリの木は、彼らの生活を守っていたのだろうか。彼らは、クリの木に守られ、満たされた生活をしていたのだろうか。柱が裂けた音の後に、濃い静けさが漂い、バクバクとした自分の身体をめぐる血液の音が聞こえた。それが、この家の中に、流れ出し、クリの柱が静かに呼吸する音と重なった。
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それは、私たちが想像できないくらい長い歳月をかけて、深い森の中で育った500本のクリの木の、静かな呼吸だった。その木の息使いを身体に感じながら、私は、この家に守られている自分を感じた。この家を大切にしようと、心の芯から思っていた。どんなに柱に亀裂が走っても、木がねじれて隙間ができても、もう動揺することはない。なぜなら、クリの木の持つ底力を、とことん信じられるからだ。どんなことが起きても、この家は倒れない。この家は、その強い力で、私たち家族だけでなく、ここに住む延々と続く命を守ってくれる。朽ち果てるまで、住むものを守り続ける強い野生の力を備えている。